こんにちは。あきです。
皆さんは同族経営の会社にどんなイメージを持っていますか?
「アットホームで働きやすそう」
「縁故採用で入ってきた変な人とかいそう」
「飲み会とかバーベキュー大会とかで休日に呼び出されそう」
「創業当時からの謎ルールがありそう」
ざっと検索してみた感じだと、世間ではどうやらマイナスのイメージのほうが強い様子。

うん。だいたい合ってる
今回は、私自身が同族経営企業に勤めた実体験と当時思っていたこと、そして退職に至った経緯について紹介していきたいと思います。
同族経営企業ってどんな感じ?
私が勤めていた会社(以下、〇×社)は、社長や取締役などの役員と部長以上の役職はすべて創業者一族で占められている典型的な同族経営企業でした。
創業者一族以外の従業員は正社員とパートを合わせて約50名ほど。田舎の中小企業にしては頑張ってるなという感じの企業規模でしょうか。
「田舎の同族経営の中小企業」と言うとどうしてもマイナスのイメージが大きいと思いますが、意外や意外、なんと〇×社はかなり働きやすい環境だったのです。
- 有給休暇は理由がなくても取得できる(しかも申請は前日の終業時間まで可能)
- 事務所内にはウォーターサーバーとコーヒーメーカーが設置されていてどちらも無料で飲み放題
- 繫忙期以外の時期であれば「今日の仕事はもう全部片付いたので帰ります」と当日に半休を取るのもOK
- 自分のデスクは自由にカスタマイズOK(バランスボールを椅子代わりにしたり、ガチャガチャの景品を並べたり)
- お腹が空いたらいつでもおやつ休憩OK
- お掃除専門のパートさんを雇っていたため、田舎の中小企業にありがちな「若手が始業前に集まって掃除やゴミ捨てをする」という謎ルールなし
- 忘年会や新年会といった飲み会の費用はすべて社長の懐から出ていて社員の負担は無し
- 禁煙手当、資格手当など各種手当が充実
- 田舎の中小企業にしてはお給料が良く、昇給のペースも早い
今ぱっと思い出しただけでもこんなに出てきます。

そこそこ需要はあるのにライバル企業が1,2社しかいないっていう業界だったから、業績と経営陣のメンタルが安定していて社員もその恩恵を受けられたんだろうね。
もちろん、良い面ばかりではなく、これはちょっとなぁという部分もあります。
- やたらと集まりたがる(飲み会のほか、バーベキュー大会、フットサル大会、初詣などなど…)
- 社長や取締役の誕生日には全社員から数千円ずつ集金してプレゼントを用意する
- 社長の縁故採用で入ってきた人は総じてちょっと態度がデカい
- びっくりするほど仕事ができないのに役職に就いている社員がいる(もちろん縁故採用)
- ときどき、態度がデカい謎の人物(経営者一族のうちの誰か、または社長の友達)が現れる
- 社内ルールが経営者一族内での話し合いで勝手に改変されたり新設されたりしていて、しかも他の社員に周知がないまま開始されていることがある
- 全社会議で半日費やして決めた案が、経営者一族の一存で覆されること多々
- 普通の社員10人の意見より、縁故採用の社員1人の意見のほうが尊重される
- 「仕事ができる社員」よりも「飲み会に必ず参加する社員」のほうが評価される
- 古いお付き合いの顧客が多く、少しでも気に食わないことがあるとすぐに「俺、社長の馴染みだからね?」とお決まりのセリフが飛び出してくる
…とまぁこのように「長い物には巻かれろ」が苦にならない人には悪くない職場ですが、そうでない人には地獄のような環境なんですよね。
退職を考え始めたきっかけは?
入社3、4年目になり、顧客や他部署の人にも信頼されるようになって仕事が楽しくなってきた頃だったでしょうか。
たまたま社長と部長のこんな会話が耳に入ったのです。

あきさん、最近頑張ってますよねー。
給与計算の業務なんかもぼちぼち教えてみようと思ってるんです。

いや、それはダメだよ!直接お金に関係する業務は身内にしかやらせたくない。
そのうち娘を入社させる予定だから、あきさんは今のままのポジションでいいよ。
さて、これは一体どういうことでしょう?
意味を理解したのはそれからしばらく経った頃でした。
社長が言ったとおり社長の娘さんが入社し、彼女には入社と同時に主任のポジションが与えられます。
実は、これより少し前の時期に私が昇進して主任になるという話が持ち上がっていたのですが、それは社長の娘さんが来たことであっさり取り消されてしまいました。
ここで私は、ようやく察します。

そうか。
この会社では経営者一族じゃないとキャリアアップなんか望めないんだ。
そこで改めて社内を見渡してみると、いろいろと現実が見えてきました。
営業成績トップのAさんより、日々失敗ばかりで「クレーム製造機」の異名を持つBさん(社長の甥)のほうが良いポジションに就いている。
勤続20年で顧客からの信頼も厚いCさんはもう何年も係長のままなのに、5年前に業界未経験で入社したDさん(取締役の娘婿)は次長候補になっている。
正直、これはあまり気持ちのいいものではありませんね…。
しかし、その後も私は〇×社で働き続けるのです。
何故なら…まわりの会社と比べたら規則が緩く、ラクで気楽で給料も良かったから。
主任昇進が白紙になってすっかりやる気をなくしていたこともあり、モヤモヤした思いは抱えたままでしたが長い物に巻かれて過ごすことにしたのでした。
仕事を辞めた決め手、決定打はなんだった?
〇×社は繁忙期になると毎日5,6時間の残業、休みは月に4日間あればいいという戦場と化します。
その戦場のど真ん中でデータが重すぎて固まりまくるパソコンと書類の山、鳴りやまない電話、有無を言わさず仕事を押し付けてくる上司、アポなしでやってきてコーヒーを要求する社長の友人と戦っていたときにふと我に返ってしまったのです。
「どうして私はろくに昇進も望めないような会社でこんなに命を削って仕事してるんだ?」
「家族と過ごす時間よりも会社にいる時間のほうが長くね?いったい何のために働いてんだ」
そこで会社に対する貢献意欲だとか愛着といったものがすべてプツンと途切れました。
そして、繁忙期が終って年度末を迎えたら退職しようと心に決めたのです。

その場で辞めずに年度末まで我慢したのを褒めてほしい。
上司からは「あと5年頑張れない?」と言われましたが、丁重にお断りして無事円満退社と相成りました。
ちなみに、退職時の私のポジションは平社員。
数年間ずっと「〇子ちゃん(社長の娘)が昇進して主任のポジションが空いたら今度こそあきさんを主任にするからね!」と言われ続けていましたが、上の役職はすでに経営者一族で埋め尽くされていたので結局それは叶いませんでしたね。
まとめ
以上が、同族経営企業に10年間勤めた体験と辞めるまでの経緯です。
こういった企業は人によって合う・合わないがハッキリ分かれますよね。
私が勤めていた会社も、何十年も働いている人が多い一方で、入社して半年経たず辞めてしまう人も少なくありませんでした。
私の経験が、これから就職を控えている方や転職を考えている方、同族経営の企業で働き続けるべきか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
